曇天ではあったが、気温も湿度もかなり高く、じっとしていてもシャツが汗でぬれていくのがよく分かる。
まずは、河川敷に下りて目的のオパールを探す。とは言っても、すでに、沢ガニや小魚、オタマジャクシに気を奪われている者もいた。
「せっかく来たんだから、オパールを探しなさい!」。などとは言わない。なぜなら彼らにとって、こうした生物は、オパール以上の価値があるのだから。
一方では、真剣に目を輝かせながらオパールを探す者もいる。ほとんどは、白か青のオパールが中心で、所謂、虹色に輝く『遊色のオパール』はなかなか見つからない。それでも2人が発見し、私の方が驚かされてしまった。
さて、ひとしきり採集を行った後、昼食をはさんで、いよいよ秘密のプールに向かう。
これまで何年間も通ってはいるが、そこで誰かが泳いでいたり遊んでいたりするのを見たことは一度もない。
だから秘密のプールであり、ドルカス専用のプールのようでもある。
自然に囲まれ、誰に気兼ねすることもなく、おもいっきり楽しむ事ができる、最高の環境だ。だた一点を除けば…
その一点とは、つまり誰も行かない=道がないという問題だ。草が生い茂っている。
道がなければ作ればよい。まさにドルカスの得意分野だ!
砂防ダムの下に、泳ぐにはちょうどよい自然のプールが広がっている。足が着かないほど深くはないが、飛び込みをするには十分の深さがある。
水もきれいだが、かなり冷たい。しばらく泳ぐと身体も冷えるが、それも焚き火を起こすから心配はない。
プールとは言っても、人工の平坦なプールとは異なり、起伏に富んだ環境は、様々な刺激を含んでいる。だから、その影響を受けた子ども達の目はみるみる澄んでくる。
まさにそれは、『養殖物と天然物の違い』のようだ。
こんな比喩が適正かどうかは自信がないが、他に例えが浮かばないのだ。