あった!もさどん

結晶といえば、水晶を思い浮かべる人は、意外と多いのではないだろうか?

六角柱状の結晶はまさに鉱石の代表的存在であり、立方体の黄鉄鉱や24面体のガーネットも有名だろう。

河津での体験講座で採集した鉱物の中には、結晶というイメージには似つかない物があった。一体どんな形なのか?一言で言えば…『もさどん』なのだ!

正確には、毛状結晶と言い、まるで白い毛がもさもさ生えているような、結晶の固いイメージとは正反対の状態である。

鉱物名はモルデン沸石。

子ども達には「私のあごひげみたいに、白くてもさもさしている物があるからよーく探してみよう!」と呼びかけた。

初めは、そんな物があるのかと不思議そうな表情をしていたが、しばらくすると、あちこちから「あった!あった!」と声が上がる。それを手に、うれしそうに駆け寄る子どもの顔をみて、「やったね!もさどんだ!」と何気なく言った事が始まりとなり、その瞬間から、モルデン沸石は『もさどん』になってしまった。

ドルカスの目的は、自然を切り取って正確なラベルをつけることではない。だからそれでいいのだ。むしろ、自然のかけらを通して、その奥深さや不思議さ、複雑なつながりを感じることが大切なのだ。

ちなみに、写真に写っている緑色の部分はセラドン石、毛状がモルデン沸石、そして、鋭くとがった結晶が、方解石の犬牙状結晶である。