子供の宝物Ⅳ

図鑑でしか見たことがなかったその実物が目の前にある!

その時の感動の大きさは、対象に対する興味や思い入れの強さに比例する。

今更言うまでもないが、どんなに写真や印刷の技術が進んでも、本物にはかなわない。

五感に対する情報量が圧倒的に違うからだ。

 

「食虫植物見つけた!」。トパーズを探すための金網に、R君はその植物を入れて私のもとに駆け寄ってきた。彼は生物に関する興味が大変強く、メンバーの中でも、その知識や採集において彼の右に出るものはいないほどだ。

「ほら、ちょうど今ここにハエが捕まってる!」 彼の指さす所をよく見ると、確かに5mmもない小さなハエが葉っぱに挟まれているのが見える。

『モウセンゴケ!?』 私は思わず自分の目を疑った。…と言うのも、これまでトパーズ採集に10年以上、2桁回数、同じ場所に通ってきているのに、一度も見つけた事がなかったからだ。

『まさかこんな所に!こんな身近に?』 

子ども達と色々な体験を共にしていると、こうした経験は特別珍しいことではない。

彼らには生き生きとした知的好奇心があるからだ。

そのため、ただ見るだけではなく、“観る”からに違いない。

まさに子供にとっての知的好奇心は、発見や感動につながる宝物なのだ。