子供の宝物Ⅲ

「お父さんと~お母さんと~お婆ちゃんと~、一番いいのは~おれっちの分で4個!絶対トパーズ4個採る!」

彼は大きな声でそう宣言して採集を始めた。

彼は宝探しをスタートしたばかりだが、私はもう素晴らしい宝物を発見してしまったのだ!

何と素晴らしい宝物だろう!私が見つけた宝石には、いくつかの結晶面があり、それぞれが独特の色でキラキラと輝いている。私はおもわず、誰にも気付かれないようニタリと笑ってしまった。

それぞれの結晶面をよく見ると、そこには次のような文字が書かれている。

  • 自分のためだけでなく、お父さん、お母さん、おばあさんにプレゼントしようとする優しい気持ち。
  • でも、一番よいものは自分用にすると正直に言える子供らしさ。
  • 明確な理由と数値化した目標を設定して物事に取り組む。
  • 失敗を怖れず、外に向かって宣言することで、自分を鼓舞することができる。

私が見つけた宝物とは、彼の個性が表れた宣言であり、タイプである。つまり彼自身に関する貴重な情報なのだ。

このような情報は自分自身ではなかなか気付く事ができない。なぜならそれが当たり前だと思っているからだ。だからなおさら、こうしたことは当たり前ではなく、素晴らしい宝物であることを伝えてあげる第三者が必要なのだ。

自分を知るということは、必ずしも自分だけの力でできるものではないし、まして、何もせずに見つけることはなおさら困難である。

『自分を知る』という“宝物”は、これからの長い人生において大いに役立つに違いない。

学習面はもちろんのこと、何か新しいことに挑戦するとき、様々な情況で生かすことができるはずだ。

さて、彼はというと、早々に目標の4個を達成し、すでに気持ちは川底で発見したヤゴに向いていた。「おれのペットにする!」のだそうだ。